さつじんめいろ 07 (れんさくたんていしょうせつだいななかい) |
殺人迷路 07 (連作探偵小説第七回) |
冒頭文
意外な夢遊探偵 一方、星田代二と別れた雑誌記者の津村は、殆んど逃げる様にして新橋駅構内を出た。そうして何処をドウ通り抜けて来たか、わからないくらい混乱しいしい銀座の左側の通りをセッセと歩き出した。 けれども、それから人ごみの中を二三百歩ばかり一直線に歩いて来ると彼はハタと足を佇(と)めた。両手をポケットに突っ込んで、うなだれたままホッと溜息(ためいき)をした。殆んど不可抗的な力に直
文字遣い
新字新仮名
初出
「探偵クラブ」1932(昭和7)年12月号
底本
- 「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8
- 光文社文庫、光文社
- 2001(平成13)年12月20日