いくん |
遺訓 |
冒頭文
一 廟堂に立ちて大政を爲すは天道を行ふものなれば、些とも私を挾みては濟まぬもの也。いかにも心を公平に操り、正道を蹈み、廣く賢人を選擧し、能く其職に任ふる人を擧げて政柄を執らしむるは、即ち天意也。夫れゆゑ眞に賢人と認る以上は、直に我が職を讓る程ならでは叶はぬものぞ。故に何程國家に勳勞有る共、其職に任へぬ人を官職を以て賞するは善からぬことの第一也。官は其人を選びて之を授け、功有る者には俸祿を以て賞し、
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「南洲翁遺訓」1890(明治23)年
底本
- 西郷南洲遺訓
- 岩波文庫、岩波書店
- 1939(昭和14)年2月2日