ぼちのさつじん
墓地の殺人

冒頭文

第一回 一 皆さん、これから申しあげる探偵談は、少年科学探偵塚原俊夫(つかはらとしお)君が、自分でもいちばん骨を折った事件の一つだと申しているほど、面倒な殺人事件であります。 そもそも犯罪探偵の際、いちばん難しいのは、殺された人の身元の分からぬ時です。明らかに他人の手によって死に至らしめられた死体でも、その死体が何の誰だということが分からなくては、犯人捜索の手のつけよ

文字遣い

新字新仮名

初出

「子供の科学 七巻一~六号」1928(昭和3)年7~12月

底本

  • 小酒井不木探偵小説選 〔論創ミステリ叢書8〕
  • 論創社
  • 2004(平成16)年7月25日