ひみつのそうじ |
秘密の相似 |
冒頭文
一 おなつかしきT様。 私は、何といって私の今の心もちをあなたに御伝えしてよいやら、本当に迷ってしまいました。あなたは今頃定めし私を怨んでおいでになることと思います。本当に私こうして筆を執(と)って居ましても、恐しいような、恥かしいような、また悲しいような思いになりまして、何から書きかけてよいやらわからなくなりました。私はこれから、あなたにとってはまったく意外な、世にも恐しい私の秘
文字遣い
新字新仮名
初出
「新青年」1926(大正15)年4月号
底本
- 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
- ちくま文庫、筑摩書房
- 2002(平成14)年2月6日