じんこうしんぞう |
人工心臓 |
冒頭文
一 私が人工心臓の発明を思い立った抑(そもそ)ものはじまりは、医科大学一年級のとき、生理学総論の講義で、「人工アメーバ」、「人工心臓」の名を聞いた時でした。…… と、生理学者のA博士は私に向って語った。A博士は曾(かつ)て、人工心臓即ち人工的に心臓を作って、本来の心臓に代(かわ)らしめ、以(もっ)て、人類を各種の疾病(しっぺい)から救い、長生(ちょうせい)延命をはかり、更に進んでは
文字遣い
新字新仮名
初出
「大衆文芸」1926(大正15)年1月号
底本
- 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
- ちくま文庫、筑摩書房
- 2002(平成14)年2月6日