しんあんたんていほう
新案探偵法

冒頭文

一 鯉坂嗣三(こいさかつぐぞう)君は生理学者であります。 彼は奇人とよばれることを頗(すこぶ)る嫌って居(お)りますけれど、友人たちは、ことごとく彼を奇人だといって居(お)ります。すべて、医学を修めて、「医者」にならない人間には、どこかに変ったところのあるものですが、とりわけ、生理学を専攻する者の中には、ちょいちょい人間ばなれのした人があって、わが鯉坂君も、どちらかというと、そ

文字遣い

新字新仮名

初出

「大衆文芸」1926(大正15)年10月

底本

  • 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2002(平成14)年2月6日