こうしょくはじゃけんせい
好色破邪顕正

冒頭文

探偵志願 戸針康雄(とばりやすお)は、訪問者が丑村(うしむら)という刑事であることを知るなり、ぎくりとして、思わずも手にして居た新聞紙を取り落した。不吉な予感が、彼の手を麻痺せしめたからである。 刑事は、す早く身を屈(かが)めて、康雄の落した新聞紙を拾い上げ、 「おお、やっぱり、ゆうべの殺人事件の記事を御読みでしたか。実は、私が御たずねしたのも、この事件に就(つい)てで御

文字遣い

新字新仮名

初出

「現代」1928(昭和3)年6~8月

底本

  • 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2002(平成14)年2月6日