かがくてきけんきゅうとたんていしょうせつ |
科学的研究と探偵小説 |
冒頭文
私は幼い時分から探偵小説が好きで、今でも相変わらず読みふけっている。いつ読んでも面白い。ポーや、ドイルや、ガボリオの探偵小説は常に自分の座右に置かれてある。何度繰り返し読んでも面白い。紐育(ニューヨーク)に留学していた時分は週刊の探偵小説雑誌を買って、毎夜床(とこ)に入ってから夜更けまで読んだ。 ある時ハドソン河を隔てたジャーセー市に殺人事件が起こった。犯人は久しい間検挙されなかった。す
文字遣い
新字新仮名
初出
「新青年 三巻三号」1922(大正11)年2月
底本
- 小酒井不木探偵小説選 〔論創ミステリ叢書8〕
- 論創社
- 2004(平成16)年7月25日