ウイツテはくかいそうきそのた |
ウイツテ伯回想記その他 |
冒頭文
近頃読んだもので、面白かった点からいうと、大竹博吉君の監修で『日露戦争と露西亜革命』という題で上巻と中巻とが出たウイッテ伯の回想記である。 そこには、ロシアの専制政治の実状、宮中や官僚の腐敗の内情から、ニコラス皇帝はじめその周囲の人物の性格が、驚くべき観察眼をもって描き出されていると同時に、ロシアの社会の上下の実相も、一自由主義政治家の眼に映じた限りにおいては正確に描出されている。
文字遣い
新字新仮名
初出
「新青年 第一一巻第一四号」1930(昭和5)年11月号
底本
- 平林初之輔探偵小説選Ⅱ〔論創ミステリ叢書2〕
- 論創社
- 2003(平成15)年11月10日