とうせんさくしょかん |
当選作所感 |
冒頭文
「あやかしの皷(つづみ)」 はじめの方は、私にはそうとう読みづらかったが三分の一くらいまでくるとだんだん面白くなって、ついひきずられて読んでしまった。なかなか手にいった書きかたで、作者の並々ならぬ手腕を偲ばせるところもあるが、私は、主として不満に感じた点だけをならべる。 まず全体の筋が「あやかしの皷」につきまとう、因果ばなしめいた一連のお噺(はなし)であるのが、私にはもの足りない。
文字遣い
新字新仮名
初出
「新青年 第七巻第七号」1926(大正15)年6月号
底本
- 平林初之輔探偵小説選Ⅱ〔論創ミステリ叢書2〕
- 論創社
- 2003(平成15)年11月10日