茶の花 庵のまわりには茶の木が多い。五歩にして一株、十歩にしてまた一株。 私は茶の木を愛する、その花をさらに愛する。私はここに移ってきてから、ながいこと忘れていた茶の花の趣致に心をひかれた。 捨てられるともなく捨てられている茶の木は『佗びつくしたる佗人』の観がある。その花は彼の芸術であろう。 茶の木は枝ぶりもおもしろいし、葉のかたちもよい。花のすがたは求むと