ぼくし |
| 墨子 |
冒頭文
墨子は周秦の間に於て孔子老子の學派に對峙した鬱然たる一大學派の創始者である。 墨子の學の大に一時に勢力のあつたことは孔子系の孟子荀子等が之を駁撃してゐるのでも明白で、輕視して置けぬほどに當世に威燄を有したればこそ孟子荀子等がこれに對して筆舌を勞したのである。それのみならず人間の善惡を超越し是非を忘却するやうなことを理想としたかの如き莊周でさへも墨家に論及し、それから又手嚴しい法治論者の韓
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「岩波講座 世界思潮 第二册」岩波書店、1929（昭和4）年7月
底本
- 露伴全集 第十八卷
- 岩波書店
- 1949（昭和24）年10月10日