しろばなのあさがお
白花の朝顔

冒頭文

一 「あんた、居やはりますか。」 ……唄にもある——おもしろいのは二十(はたち)を越えて、二十二のころ三のころ——あいにくこの篇の著者に、経験が、いや端的に体験といおう、……体験がないから、そのおもしろいのは、女か、男か。勿論誰(たれ)に聞かしても、この唄は、女性の心意気に相違ないらしいが、どんなのを対手(あいて)にした人情のあらわし方だか、男勝手にはちょっときめにくい。ただしどう割引

文字遣い

新字新仮名

初出

「週刊朝日 第二十一ノ十六号(春季特別號)」1932(昭和7)年4月

底本

  • 泉鏡花集成8
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年5月23日第1刷