インドさらさ |
印度更紗 |
冒頭文
一 「鸚鵡(おうむ)さん、しばらくね……」 と真紅(しんく)へ、ほんのりと霞(かすみ)をかけて、新しい火の𤏋(ぱっ)と移る、棟瓦(むねがわら)が夕舂日(ゆうづくひ)を噛(か)んだ状(さま)なる瓦斯暖炉(がすだんろ)の前へ、長椅子(ながいす)を斜(ななめ)に、ト裳(もすそ)を床(ゆか)。上草履(うわぞうり)の爪前(つまさき)細く嬝娜(たおやか)に腰を掛けた、年若き夫人が、博多の伊達巻(だて
文字遣い
新字旧仮名
初出
「中央公論」1912(大正元)年11月
底本
- 日本幻想文学集成1 泉鏡花
- 国書刊行会
- 1991(平成3)年3月25日