ようまのつじうら |
妖魔の辻占 |
冒頭文
一 伝へ聞く……文政(ぶんせい)初年の事である。将軍家の栄耀(えよう)其極(そのきょく)に達して、武家の代(よ)は、将(まさ)に一転機を劃(かく)せんとした時期だと言ふ。 京都に於て、当時第一の名門であつた、比野大納言資治卿(ひのだいなごんやすはるきょう)(仮)の御館(みたち)の内に、一日(あるひ)偶(ふ)と人妖(じんよう)に斉(ひと)しい奇怪なる事が起つた。 其(そ)の
文字遣い
新字旧仮名
初出
「新小説」1922(大正11)年1月
底本
- 日本幻想文学集成1 泉鏡花
- 国書刊行会
- 1991(平成3)年3月25日