しきぶこうじ |
式部小路 |
冒頭文
序 日本橋のそれにや習える、 源氏の著者にや擬(なぞら)えたる、 近き頃音羽(おとわ)青柳(あおやぎ)の横町を、 式部小路となむいえりける。 名をなつかしみ、尋ねし人、 妾宅と覚しきに、世にも 婀娜(あだ)なる娘の、糸竹の 浮きたるふしなく、情も恋も 江戸紫や、色香いろはの 手習して、小机に打凭(うちもた)れ、 紅筆を含める状(さま)を、垣間(かいま) 見(み)てこそ頷
文字遣い
新字新仮名
初出
「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日
底本
- 泉鏡花集成9
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1996(平成8)年6月24日