ゆきやなぎ
雪柳

冒頭文

一 小石川白山(はくさん)のあたりに家がある。小山弥作(やさく)氏、直槙(ちょくしん)は、筆者と同郷の出で、知人は渠(かれ)を獅子屋(ししや)さんと渾名(あだな)した。誉過(ほめす)ぎたのでもありません、軽く扱ったのでもありません。 氏神の祭礼に、東京で各町内、侠勇(きおい)の御神輿(おみこし)を担(かつ)ぐとおなじように、金沢は、廂(ひさし)を越すほどの幌(ほろ)に、笛太鼓三

文字遣い

新字新仮名

初出

「中央公論 第五十二年第十三號」1937(昭和12)年12月

底本

  • 泉鏡花集成9
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年6月24日