「げんごのきげん」ふき
「言語の起原」附記

冒頭文

此言語起原の一篇は江村學人の草する所なり。予は之を萬年艸に收録するに當りて、一二所思を附記することの必ずしも無用ならざるべきを信ず。學人は小兒の呌聲、簡單なるものより複雜なるものに進み、言語の原料となると云ひ、數語を擧げて之れが證例に充てられたり。是れ言語學上容易ならざる問題なり。予は故に謂へらく。此研究の便宜上、一應彼呌聲と言語の原料とを區別し置かんこと或は宜しきを得たるものなるべし。而して其の

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「萬年艸 卷第九」1903(明治36)年10月31日

底本

  • 鴎外全集 第二十六卷
  • 岩波書店
  • 1973(昭和48)年12月22日