こんとん |
混沌 |
冒頭文
私は話をすることが非常に下手なので、話をしろと云はれると實に氣になつてならない。若しこれが前以て知れてゐたならば、今日などは來ないのかも知れない。併し出し拔けに、奇襲を受けたやうに、豫告をせられたから、已むを得ず此處にすわつたのです。扨題があるかと思つて色々考へて見ましたが、題がない。雜誌を見ると蓮法寺謙と云ふ人が津和野人の性質と云ふことに就てお話になつてゐる。あれを私は大變に面白く思つて讀んだ。
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「在東京津和野小學校同窓會會報第六號」1909(明治42)年
底本
- 鴎外全集 第二十六卷
- 岩波書店
- 1973(昭和48)年12月22日