「こくしかんさつじんじけん」じょ
「黒死館殺人事件」序

冒頭文

探偵小説界の怪物(モンスター)江戸川乱歩が出現して満十年、同じく怪物(モンスター)小栗虫太郎が出現した。この満十年という年月はどうも偶然でないような気がする。小栗君が現われた時に、私は江戸川君を誘って、満十年にして新人出で、探偵小説壇によき後継者を得たお祝いをしようと思ったが、つい果さなかった。今でもそれを残念に思っている。 江戸川君の怪物ぶりと小栗君の怪物ぶりとは自ら違う。然し、両君と

文字遣い

新字新仮名

初出

「黒死館殺人事件」新潮社、1935(昭和10)年5月

底本

  • 日本探偵小説全集6 小栗虫太郎集
  • 創元推理文庫、東京創元社
  • 1987(昭和62)年11月27日