じゅうごねん
十五年

冒頭文

『改造』を創めてからこの四月で満十五年だ。あれもこれも考えればまるで夢のようだ。廻り燈籠のように舞台がくるくる廻っていることが感ぜられるのみだ。だが、静かに眼を閉じて十五年の足あとをふり返えれば、その間におのずから元気の消長が事績を公平に物語っている。命をかけてした仕事はいつまでたってもカチンと響く生命がこもっているが、食うためにやったような仕事は見るさえ、思い出すさえ恥ずかしくて見るにたえぬ。感

文字遣い

新字新仮名

初出

「改造」1934(昭和9)年4月号

底本

  • 出版人の遺文 改造社 山本実彦
  • 栗田書店
  • 1968(昭和43)年6月1日