ふたばていついろく
二葉亭追録

冒頭文

一 二葉亭が存命だったら 二葉亭が存命だったら今頃ドウしているだろう? という問題が或る時二葉亭を知る同士が寄合(よりあ)った席上の話題となった。二葉亭はとても革命が勃発(ぼっぱつ)した頃まで露都に辛抱していなかったろうと思うが、仮に当時に居合わしたとしたら、ロマーノフ朝に味方したろう乎(か)、革命党に同感したろう乎、ドッチの肩を持ったろう? 多恨の詩人肌から亡朝の末路に薤露(かいろ)の悲歌

文字遣い

新字新仮名

初出

「女性」1925(大正14)年1月号

底本

  • 新編 思い出す人々
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1994(平成6)年2月16日