ひらがたけとうはんき
平ヶ岳登攀記

冒頭文

平ヶ岳と鶴ヶ岳 平ヶ岳の記事は従来刊行された地理書には絶無であるから、極めて僭越(せんえつ)でかつは大袈裟(おおげさ)のようではあるが、自分を主としたこの山の記録とでもいうような事と、自分がこの山に興味を持って、数回の失敗を重ねて、ようやく登攀を試みた筋道を一通り陳(の)べて見ようと思う。 今から十五、六年前に、自分が小出(こいで)町へ遊びに行った時に、三魚沼(うおぬま)は深山地で

文字遣い

新字新仮名

初出

「山岳 一〇の三」1916(大正5)年5月

底本

  • 山の旅 明治・大正篇
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2003(平成15)年9月17日