あんないにんふうけい |
案内人風景 |
冒頭文
日本アルプス地方に於て「登山案内者」という職業的な存在が認められたのは、恐らく今から二十二、三年前からの事だろう。 それ以前のいわゆる日本アルプス探険時代ともいうべき頃の登山者たちは、概(おおむ)ね、猟師とか、岩魚(いわな)釣りとか、杣人(そまびと)の類か、または、かつて陸地測量部の人夫として働いた事があるというような人を、辛うじて探し出して、頼むべき伴侶とする外はなかったのである。そし
文字遣い
新字新仮名
初出
「文藝春秋」1931(昭和6)年7月
底本
- 山の旅 大正・昭和篇
- 岩波文庫、岩波書店
- 2003(平成15)年11月14日