きょういくのこと
教育の事

冒頭文

一人の教育と一国の教育とは自(おの)ずから区別なかるべからず。一人の教育とは、親たる者が我が子を教うることなり。一国の教育とは、有志有力にして世の中の事を心配する人物が、世間一般の有様を察して教育の大意方向を定め、以て普(あまね)く後進の少年を導くことなり。 父母の職分は、子を生んでこれに衣食を与うるのみにては、未だその半ばをも尽したるものにあらず。これを生み、これを養い、これを教えて一

文字遣い

新字新仮名

初出

「福澤文集 巻之一」1878(明治11)年1月

底本

  • 福沢諭吉家族論集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1999(平成11)年6月16日