ひとみごくうとひとばしら
人身御供と人柱

冒頭文

宮城二重櫓の下から白骨や古銭が出たので、やれ人柱だの、墓地であったのだろうだの、工事の際の傷死人を埋めたのであろうだのと、いろいろの説がある様だ。自分は単に新聞の報道でそれを知ったばかりで、まだ実地を知らないから、無論これに対して自信ある判断を下す事は出来ぬ。或いは自分の見た新聞の報道なるものが、幾分潤飾されていたものかもしれぬ。或いは誇大されていたのかもしれぬ。しかしながら、少くも自分の新聞を見

文字遣い

新字新仮名

初出

「中央史壇 第一一巻第二号生類犠牲研究」1925(大正14)年8月

底本

  • 先住民と差別 喜田貞吉歴史民俗学傑作選
  • 河出書房新社
  • 2008(平成20)年1月30日