サンカものめいぎこう ――サンカモノはさかのもの |
サンカ者名義考 ――サンカモノは坂の者 |
冒頭文
京都あたりでは一種の浮浪民を、サンカまたはサンカモノと呼んでいる。東山や鴨川堤などに臨時の小屋を構えて住んでいるものは、そのやや土着的性状を具えて来たものと思われるが、それでもやはり戸籍帳外のものとしてしばしば警察官から追い立てを喰って他に浮浪せねばならぬ運命を免れない。その或るものは数年前から警察や役場のお世話になって、今は在来の或る「特殊部落」に接した地に借屋住まいをなし、別に一つの部落をなし
文字遣い
新字新仮名
初出
「民族と歴史 第四巻第三号」1920(大正9)年6月号
底本
- 先住民と差別 喜田貞吉歴史民俗学傑作選
- 河出書房新社
- 2008(平成20)年1月30日