おうむ 『はくほう』だいにぶ
鸚鵡 『白鳳』第二部

冒頭文

その鸚鵡——百済(くだら)わたりのその白鸚鵡を、大海人(おおしあま)ノ皇子へ自身でとどけたものだらうか、それとも何か添へぶみでもして、使ひに持たせてやつたものかしら……などと、陽春三月のただでさへ永い日を、ふた昼ほど思ひあぐねた鏡ノ夫人(おとじ)は、あとになつて考へれば余計な取越し苦労をしたといふものだつた。よく妹の額田(ぬかた)ノ姫王(ひめみこ)から、姉さんは冷めたい、水江の真玉(またま)みたい

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新文學」1948(昭和23)年6月号

底本

  • 雪の宿り 神西清小説セレクション
  • 港の人
  • 2008(平成20)年10月5日