しゆうのうじょうからきょうさんのうだんへ
私有農場から共産農団へ

冒頭文

A 北海道農場開放に就ての御意見を伺ひたいのですが。殊に、開放されるまでの動機やその方法、今後の処置などに就いてですな。 B 承知しました。 A 少し横道に這入るやうですが、この頃は切りに邸宅開放だとか、農場開放だとか、それも本統の意味での開放でなく、所謂美名に隠れて巨利を貪つてゐるやうな、開放の仕方が流行つてゐるやうですが、いゝ気なものですな。 B 全くですな。土地からの利益が上らなくなつ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「解放 第五巻第三號(三月號)」1923(大正12)年3月1日

底本

  • 有島武郎全集第九卷
  • 筑摩書房
  • 1981(昭和56)年4月30日