つばめとおうじ |
燕と王子 |
冒頭文
燕(つばめ)という鳥は所をさだめず飛びまわる鳥で、暖かい所を見つけておひっこしをいたします。今は日本が暖かいからおもてに出てごらんなさい。羽根がむらさきのような黒でお腹(なか)が白で、のどの所に赤い首巻(くびま)きをしておとう様のおめしになる燕尾服(えんびふく)の後部(うしろ)みたような、尾のある雀(すずめ)よりよほど大きな鳥が目まぐるしいほど活発に飛び回っています。このお話はその燕のお話です。
文字遣い
新字新仮名
初出
「婦人の国」1926(大正15)年4月
底本
- 一房の葡萄
- 角川文庫、角川書店
- 1952(昭和27)年 3月10日