一 ブラゴウエシチェンスクと黒河を距(へだ)てる黒竜江は、海ばかり眺めて、育った日本人には馬関と門司の間の海峡を見るような感じがした。二ツの市街が岸のはなで睨み合って対峙(たいじ)している。 河は、海峡よりはもっと広いひろがりをもって海のように豊潤に、悠々(ゆうゆう)と国境を流れている。 対岸には、搾取(さくしゅ)のない生産と、新しい社会主義社会の建設と、労働者が、自分た