あきびん |
空罎 |
冒頭文
一 幕末外交に関する法学的研究には、尾佐竹(おさたけ)氏以下の権威的著作があって、われわれの場所でないのだが、幕末外交問題の本質が通商にあるように、幕末維新史の鍵もまた貿易に、さらにそれが、徳川末期以後次第に国民化されつつあったわが経済組織におよぼした決定的影響のなかに、求められる。こうした観点からの幕末外交物語を、二、三拾いあつめてみようと思うまでである。 安政条約付録による
文字遣い
新字新仮名
初出
「法律春秋」1931(昭和6)年5月号
底本
- 黒船前後・志士と経済他十六篇
- 岩波文庫、岩波書店
- 1981(昭和56)年7月16日