だいりきものがたり |
大力物語 |
冒頭文
一 昔、朝廷(ちょうてい)では毎年七月に相撲(すもう)の節会(せちえ)が催(もよお)された。日本全国から、代表的な力士を召(め)された。昔の角力(すもう)は、打つ蹴(け)る投げるといったように、ほとんど格闘(かくとう)に近い乱暴なものであった。武内宿彌(たけのうちのすくね)と当麻(たいま)のくえはやとの勝負に近いものだ。 だから、国々から選ばれる力士も、その国で無双(むそう)の強者
文字遣い
新字新仮名
初出
「新大阪新聞」1947(昭和22)年
底本
- おかしい話〈ちくま文学の森5〉
- 筑摩書房
- 1988(昭和63)年4月29日