おんなごうとう
女強盗

冒頭文

一 隆房大納言(たかふさだいなごん)が、検非違使(けびいし)(警視庁と裁判所をかねたもの)の別当(長官)であった時の話である。白川のある家に、強盗(ごうとう)が入った。その家の家人(けにん)に、一人の勇壮(ゆうそう)な若者がいて、身支度をして飛出したが暗くてどちらが味方か敵かわからない。まごまごしているうちに、気がついて見ると、味方はことごとく敗走して、自分一人が強盗の中にいる。しかも、強盗

文字遣い

新字新仮名

初出

「新大阪新聞」1947(昭和22)年

底本

  • 悪いやつの物語〈ちくま文学の森8〉
  • 筑摩書房
  • 1988(昭和63)年8月29日