がっぽんさんたろうのにっきのあとに
合本三太郎の日記の後に

冒頭文

私は昨日合本三太郎の日記の初校を了へた。もうこれからは永久に手を觸れることを罷めるつもりで、今囘は初校も再校も三校も凡て自分で眼を通すことにしたのである。さうして二度も三度も舊稿を讀みかへしながらどんな心持を經驗したか、私は今これを語ることをやめようと思ふ。此處に集めたものは既に一旦公けにしたものであれば、今更自ら恥ぢ自ら躊躇してももう及ばない。現在の自分がよいと思ふものと惡いと思ふものとをよりわ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「合本三太郎の日記」岩波書店、1918(大正7)年6月

底本

  • 合本三太郎の日記
  • 角川書店
  • 1950(昭和25)年3月15日