いがみのごんた (めいじにじゅうくねんいちがつ、めいじざ) |
いがみの権太 (明治二十九年一月、明治座) |
冒頭文
いがみの権太は「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」三段目、木の実と鮨屋(すしや)とにて、局部の主人公と看做(みな)すべきものなり。作者出雲(いずも)、松洛(しょうらく)、千柳(せんりゅう)等はこの権太によりて大物(だいもつ)の浦、芳野山の様なる大時代の中に、一の世話場を現ぜしめたり。権太の性質はおよそ三段に分る。木の実と鮨屋の上三分一即ち弥左衛門の出までとの権太は純粋なる悪棍(ならずもの)なれ
文字遣い
新字旧仮名
初出
「めさまし草 巻一、二」1896(明治29)年1、2月
底本
- 観劇偶評
- 岩波文庫、岩波書店
- 2004(平成16)年6月16日