あくまのでし
悪魔の弟子

冒頭文

一 ××地方裁判所検事土田八郎殿。 一未決囚徒たる私、即ち島浦英三は、其の旧友にして嘗(かつ)ては兄弟より親しかりし土田検事殿に、此の手紙を送ります。 検事殿、あなたは私を無論思い出して居(お)らるる事でしょうね。仮令(たとい)他の検事によって取り調べられ、次で予審判事の手に移されてしまった私であっても、あの、世間を騒がした美人殺しの犯人として伝えられ、新聞紙上に其の

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」1929(昭和4)年7月

底本

  • 日本探偵小説全集5 浜尾四郎集
  • 創元推理文庫、東京創元社
  • 1985(昭和60)年3月29日