ていだいせいしょけんきゅうかいしゅうこうのじ
帝大聖書研究会終講の辞

冒頭文

今日はイザヤ書第三十四、三十五章の御話をしようと思う。此の部分はイザヤの言ではなく、その後二世紀を経てバビロン捕囚の国民的悲運を経験した時代に、或る名の伝わらない預言者の宣べた言であって、其後更に二世紀経(た)ってイザヤ書が今日の形に編輯せられた時、その編輯者がイザヤ書預言の最終曲として此処に収載したものである。イザヤ書の中にはイザヤの言は勿論であるが、彼よりも後代の無名の預言者の言も含まれて居り

文字遣い

新字新仮名

初出

「嘉信 第一巻第三号」1938(昭和13)年3月

底本

  • 日本の名随筆 別巻100 聖書
  • 作品社
  • 1999(平成11)年6月25日