せんせいさんにん
先生三人

冒頭文

けさ新聞紙上にて、文壇師弟間の、むかしながらのスパルタ的なる鞭の訓練ちらと垣覗(かきのぞ)きして、あれではお弟子が可愛さうだと、清潔の義憤、しかも、酸鼻といふ言葉に據つて辛くも表現できる一種凌壯の感覺に突き刺されて、あ、と小さい呼び聲、女の作家、中條百合子氏の、いちいち汚れなき抗議の文字、「文學に、何ぞ、この封建ふうの徒弟氣質、——」云々の、お言葉に接して、いまは猶豫の時に非ず、良き師持ちたるこの

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「文藝通信 第四巻第十一号」1936(昭和11)年11月1日

底本

  • 太宰治全集11
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年3月25日