「にんげんキリストき」そのた |
「人間キリスト記」その他 |
冒頭文
山岸外史氏の「人間キリスト記」を、もつと、たくさんの人に讀んでもらひたい、と思つてゐる。さうして、讀後の、いつはらざる感想を、私は、たくさん、たくさん、聞いてみたい。それは、山岸のため、といふよりは、むしろ、私自身の開眼のために聞いてみたい。遠慮なさらず、思つたこと、たくさん教へてもらひたい。私も、さうであるが、山岸の表現に就いての努力は、たつたいまのこの苦惱を、瞬時の距離に於いて切斷し、一まづ時
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「文筆 初夏随筆号」1939(昭和14)年7月10日
底本
- 太宰治全集11
- 筑摩書房
- 1999(平成11)年3月25日