ラロシフコー |
ラロシフコー |
冒頭文
その高橋五郎といふ人は、他にどんな仕事をした人か、私は知らない。この人は、大正二年にラロシフコーを譯してゐる。「寸鐵」といふ題で、出版してゐる。大正二年といへば、私など、四、五歳のころで、そのころ此の本の出版が、どんな反響を呼んだか、知る由もないが、けれども、序文を見ると、たいへんな意氣込である。 「佛蘭西文學の旺盛時代たる路易第十四世の朝に於て、突如として一世の耳目を聳動し來れる一書あり、
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「作品 第十巻第七号」1939(昭和14)年7月1日
底本
- 太宰治全集11
- 筑摩書房
- 1999(平成11)年3月25日