「めいじのおもかげ」じょにかえて |
「明治のおもかげ」序にかえて |
冒頭文
大阪にて 喜多村緑郎 『明治のおもかげ』という随筆を書いたから、序文を書け、という手紙を留守宅から回送して来たのだが、日も迫っているし、旅にいる身の、内容を知るすべもない。しかしいずれの方面に筆をとられたものとしても、これこそ作者独得の擅場(せんじょう)、充分蘊蓄(うんちく)を披瀝(ひれき)されることを望ましく思う。単に『明治のおもかげ』という題名を聞いただけでも、わたしに取っては頗(すこぶ
文字遣い
新字新仮名
初出
「明治のおもかげ」山王書房、1953(昭和28)年11月30日
底本
- 明治のおもかげ
- 岩波文庫、岩波書店
- 2000(平成12)年6月16日