よのせがれについて |
余の倅に就いて |
冒頭文
試みに、余の三歳になる一子をとらへて、——葛西をぢちやんに如何(どう)されたか? と訊ねて見給へ! 彼は、忽ち武張つた表情をして、次のやうな動作をするであらう。 彼は、両脚を踏ン張つて五体に力を込めて、そして自らの二つの掌をもつて自らの両頬を挟んで——斯うだ〳〵、といふ意気込みで、己れの顔を釣りあげるやうにして、さし示すであらう。 国々に依つて、その名称は異るだらうが、余等が
文字遣い
新字旧仮名
初出
「新潮 第四十一巻第五号(十一月号)」新潮社、1924(大正13)年11月1日
底本
- 牧野信一全集第二巻
- 筑摩書房
- 2002(平成14)年3月24日