たくじょうえんぜつ |
卓上演説 |
冒頭文
おゝ皆さん、今宵、この真夏の夜の夢の、いとも花やかなる私達の円卓子にお集りになつた学識に富み夢に恵まれ、且つまたゲルマン系の「冒険の歌」より他に歌らしい歌も弁へぬ南方の蛮人(ヒクソス)(私)を指命して一場の演説を所望なさるゝといふ最も趣味拡き紳士よ、淑女よ、私は立ち上りました、私はマルテン・ルーテルの祈りを口吟みながら立ち上りました——。「余は万事に就いて訂正を望まぬ、不可能なればなり、良心に逆ふ
文字遣い
新字旧仮名
初出
「作品 第二巻第八号(八月号)」作品社、1931(昭和6)年8月1日
底本
- 牧野信一全集第四巻
- 筑摩書房
- 2002(平成14)年6月20日