〔ふじんてがみはんれいぶん〕 |
〔婦人手紙範例文〕 |
冒頭文
転地してゐる義妹へ 何や彼(か)やと毎日のことばかりに追はれて、ついついお手紙さへも書きおくれて居りましたこと、どうぞおゆるし下さい。でも、貴女の御容体が日増に御快方に向いてゐる由をうかゞつて安心いたしました。この分なら、私達がそちらへうかゞへる頃までには、すつかりお丈夫になるだらうなどと考へて、あれこれと楽しい空想にばかり耽つて居ます。水着や浮袋やサンド・パラソルを本日お送りいたしてお
文字遣い
新字旧仮名
初出
転地してゐる義妹へ、失恋した友を慰める、遊学中の婚約者を励ます「別冊附録 婦人手紙文全集」大日本雄辯会講談社、1933(昭和8)年8月1日、花びらを封じて(女学生より友へ)「別冊附録 婦人手紙文全集」大日本雄辯会講談社、1935(昭和10)年2月1日
底本
- 牧野信一全集第五巻
- 筑摩書房
- 2002(平成14)年7月20日