じしょとしんぶんし |
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冒頭文
一 あるところに大層偉い王様がありました。お国は大へんよく治つて居りましたが、たつた一つ王様にとつて心配なことがありました。それは王様には王子様が一人も無いといふことなのです。王様は常々からこの事を非常に心配して居られました。 ある時王様は国中にお布令(ふれ)を出しました。そのお布令は、人民の中から王様の試験に合格した者を王子として選ぶといふのでした。 このお布令が出
文字遣い
新字旧仮名
初出
「少年 第二〇〇号(二百号記念号 四月号)」時事新報社、1920(大正9)年3月8日
底本
- 牧野信一全集第一巻
- 筑摩書房
- 2002(平成14)年8月20日