やそうざっき・やちょうざっき 01 やそうざっき
野草雑記・野鳥雑記 01 野草雑記

冒頭文

記念の言葉 この二冊の小さな本のように、最初思った通りに出来あがらなかった書物も少ない。私は昭和二年の秋、この喜多見(きたみ)の山野のくぬぎ原に、僅(わず)かな庭をもつ書斎を建てて、ここを一茶(いっさ)のいうついの住みかにしようという気になった。あたりはまだ一面の芒尾花(すすきおばな)で、東西南北には各々二三本の大きな松が見え、風のない日には小鳥の声がある。身の老い心の鎮まって行くととも

文字遣い

新字新仮名

初出

野草雑記「短歌研究 第五巻第四号」改造社、1936(昭和11)年4月1日、蒲公英「ごぎやう 第九巻第二〜五号」御形詩社、1930(昭和5)年2月5日〜5月5日、虎杖及び土筆「民族 第三巻第五号」民族発行所、1928(昭和3)年7月1日、菫の方言など「地上楽園 第二巻第七号」大地舎、1927(昭和2)年7月1日、草の名と子供「愛育 第五巻第一〜五号、第十号」恩賜財団愛育会、1939(昭和14)年1月1日〜5月1日、10月1日

底本

  • 野草雑記・野鳥雑記
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2011(平成23)年1月14日