しゅんせつのでわじのみっか |
春雪の出羽路の三日 |
冒頭文
思いのほかの雪中旅行 昨年十一月に始めて出羽の踏査に着手したその続きを、この春の休暇中にやってみたいと思っている折から、山形県史蹟名勝天然記念物調査委員会の開会式が行われるので、やって来ぬかと理事官の有吉君から言って来られた。これ幸いとさきに御厄介になった庄内の阿部正己君に、同地方遺蹟踏査の御相談に及ぶと、このころはまだ雪が深くてとても駄目だとのお返事だ。冗談じゃない、こちらではもう桜が
文字遣い
新字新仮名
初出
「社会史研究 第九巻第六号」1923(大正12)年6月
底本
- 喜田貞吉著作集 第一二巻 斉東史話・紀行文
- 平凡社
- 1980(昭和55)年8月25日