てらだせんせいのついおく ――だいがくそつぎょうぜんごのおもいで――
寺田先生の追憶 ――大学卒業前後の思い出――

冒頭文

わが師、わが友として、最も影響を受けた人たちと言えば、物心がついてから今日まで、私が個人的に接触したすべての人が、師であり友であった。 どういう人でも、よく見れば必ず長所があるので、その点を表立てて見ることにすれば、自分の接触する人は誰(だれ)でも師であり、友であると、この頃私はかなり自然にそういう気持になっている。こういう心の持ち方は、明(あきら)かに寺田寅彦(てらだとらひこ)先生の感

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人公論」1941(昭和16)年2月1日

底本

  • 中谷宇吉郎随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1988(昭和63)年9月16日