てんさいはわすれたころくる |
天災は忘れた頃来る |
冒頭文
今日は二百二十日だが、九月一日の関東大震災記念日や、二百十日から、この日にかけては、寅彦(とらひこ)先生の名言「天災は忘れた頃来る」という言葉が、いくつかの新聞に必ず引用されることになっている。 ところで、よく聞かれるのであるが、この言葉は、先生のどの随筆にあるのかが、問題になっている。寅彦のファンは日本中にたくさんあって、先生の全集は隅(すみ)から隅まで、何回となく繰り返して読んだとい
文字遣い
新字新仮名
初出
「西日本新聞」1955(昭和30)年9月11日
底本
- 中谷宇吉郎随筆集
- 岩波文庫、岩波書店
- 1988(昭和63)年9月16日